ビシャカパトナム周辺の遺跡(9/10)

 S先生ご案内を口実に、ビシャカパトナム周辺で行きそびれた遺跡などを見学に行った。9日はビシャカパトナム東方のエラマティディバルという赤い砂の層が侵食されてガリー(雨裂)が発達しているところと、去年の12月に自転車で遠征したトトラコンダ遺跡とその近くのバビコンダ遺跡(約2000年前の仏教遺跡)に行った。これらの遺跡にはS先生は以前行かれたことがあったのでご一緒しなかったが、10日はビシャカパトナム西方のサンカラム遺跡とコトゥル遺跡、ヒンドゥー寺院のパンチャダラに行った。
 サンカラムは丘の上の仏教遺跡(4-9世紀)で、石窟寺院と石を彫りだしたストゥーパ仏舎利塔)や仏像があり、丘の上からのながめもすばらしかった。



 パンチャダラは丘陵のふもとにあり、湧水がちょうど世田谷の等々力不動のように流れ落ちていて、地元の人たちが水浴びをしていた。裏山の露岩がリンガになぞらえられていて、そこから湧き出す水は聖なる水ということらしい。
 15世紀の碑文がありそれほど古くはないのだが、カンボジアヒンドゥー教寺院と似た建物がありちょっとうれしかった。


ノキアの携帯(9/8)

 院生E君、日本では使えないノキア(NOKIA)の携帯電話が欲しいという。そういえばカンボジアでもみんなノキアだったな。ノキアの呼び出し音は(日本以外では)非常にポピュラーだし。
 市内の携帯ショップでノキアの本体を無事購入したが、電話番号のシムカードは住民登録がないと売れないといわれた。携帯を買うときは申請書とか顔写真とかいろいろ提出しないといけないらしい。外国人パスポートだけでシムカードが買える店はほかにあり、そこへ行くつもりが運転手さんの兄弟の店とかいうところに連れて行かれ、案の定シムカードは買えない。そうしたら、行商みたいにかばん一つでシムカードをたくさん持った兄ちゃんがきて、何だかわからないけれど60ルピー払っただけで使えるようになった。パスポートも顔写真もいらない。日本では犯罪に使われるとかでプリペイド携帯が使えなくなったけれど、インドじゃ抜け穴だらけみたいだ。


※E君は英語がよくわからないし、こっちは携帯のことが何もわからないので、二人合わせても結局何が何だかわからず、だった。

最初で最後の巡検(9/7)

 日本からS先生がビシャカパトナムまで来てくださった。S先生とアンドラ大のN先生の友情のおかげで今回のインド滞在が実現したので、今月下旬の帰国前にこちらでお会いできて本当によかった。
 S先生とアンドラ大のN先生、H先生と院生2名、ついでに日本からきた院生2名も加えて、総勢8名でゴダバリデルタの巡検(フィールドトリップ)に行くことができた。2泊3日でゴダバリデルタを一周するというかなりの強行軍で、ビシャカパトナム〜ラジャムンドリ〜カキナダ(泊)〜アマラプラム〜アドル遺跡〜ビーマバラム(泊)〜コレル湖〜エルル〜ビシャカパトナムというコースを車2台で移動した。カキナダのマングローブ林もコレル湖もはじめて行ったし、川幅いっぱいに流れる雨季のゴダバリ川を見ることもでき感激した。


(雨季のゴダバリ川)

(海岸侵食対策の石積み)

(ゴダバリデルタのマングローブ林)

(コレル湖;ラムサール登録湿地)


※日本から院生が2人来たので、ゴダバリデルタで穴掘りをしてもらった。ボーリングステッキ(検土杖)とハンドオーガーを持参して、カキナダのマングローブ林と、アドル遺跡と、コレル湖で、彼らは泥だらけになって奮闘してくれた。本当にありがとうございました。


(コレル湖畔でボーリング)

紅茶の買い付け(2) (8/30)

 アッサムの次は、ダージリンに足を延ばした。標高2200 mのダージリンはまさしく避暑地で、朝4時起きでタイガーヒルへ日の出を見に行ったら、あいにくインド最高峰カンチェンジュンガ(8586 m)の山頂にはつるし雲がかかっていた。あきらめてホテルに戻ったら、部屋の窓からつるし雲の取れたカンチェンジュンガがよく見えた。なあんだ。


(ホテルの窓からカンチェンジュンガ

 「走る世界遺産ダージリンヒマラヤ鉄道は軌間610 mmという超ナローゲージで、観光客向けに蒸気機関車(トイトレイン)を1日3往復も運転している。座席数23のマイクロバスみたいな客車が1両だけ連結で、車掌が2名、機関車の運転2名、釜炊き2名?、旗振りその他よくわからないけど、乗務員が合計10名近くいる。雇用確保だねえ。途中給水で10分停車、次はループのところ(公園になっている)で10分停車、7 km先のグーム駅まで行って戻ってきて往復2時間なり。


(トイトレイン;おもちゃの汽車)

 インドで日常飲まれている紅茶はおもにアッサム産のCTCという粉砕して小さく丸めた茶で(初めて見たときはカイコのフンみたいだと思った)、ミルクと砂糖で煮込んでつくる。だから、ダージリンの高級な紅茶はもっぱら輸出用らしい。それにしてもずいぶん値段に幅があったが、シロートの舌では違いがわかりそうにない。レストランで飲んだ紅茶がすごくおいしかったので、どこの紅茶か教えてもらい店に行ってみると、そのレストランで使っているのはいちばん安い茶だと言われた。


ダージリンの町と茶畑)


 ※帰りのバグドグラ〜デリーの飛行機からカンチェンジュンガマカルー、エベレスト、アンナプルナなど(たぶん)も見えた。真下はガンジス平野で、増水したガンジスがのたうちまわっていた。

チェラプンジ(8/26)

 バングラデシュの国境に近いメガラヤ州のチェラプンジは、世界一雨量の多いところとして有名だ(最近は近くの別の町が世界一らしいが)。アッサム州グワハティから200 km位なので行ってみることにした。
 グワハティから南へ100 km位のところにメガラヤ州の州都のシロンという町がある。ヒルステーション(植民地時代の避暑地)で標高約1450 m、標高50 mのグワハティから来ると別世界で、あたり一面はマツ林である。ところがここからさらに南下してチェラプンジへ向かうと、分水界の手前からスギが目だつようになる(タケも多く日本みたい)。そして、分水界を越えたとたん照葉樹林とシダに変わり、ちょうど雨も降り出した(タイミングがよすぎる)。道路の脇にいくつも滝が現れた。
 ところが、チェラプンジに近づくと照葉樹林はまばらになり、秋吉台みたいな草原が広がっている(雨もやんで青空が広がる)。地形はなだらかな高原で、地表には基盤岩(堆積岩)が露出している。森林が伐採されたため土壌が失われて森林が再生できないのではないかと思った。


(世界最大雨量の場所は草原?)

 チェラプンジの付近で高原は突然終わり、南側は絶壁となり高原の河川が軒並み滝となって落下している。そして前方にはバングラデシュのシルヘットの大湿原が広がっている。ああすごい景色だ。「インドのギアナ高地」と呼ぶことにしよう。


ギアナ高地みたい?)

バングラデシュのシルヘット湿地)

ブラマプトラ川の後背湿地(8/25)

 ゴウハティ大学地理学教室を訪問し、B教授と助手のSさん、院生Mさんにお世話になった。Sさんには彼のフィールドのブラマプトラ川周辺の湿地を案内してもらった。
 グワハティ空港に着いたのが夜で、市内まで行く途中、どうも湿っぽいところだと思ったのだがそのはず、国道沿いにブラマプトラ川の後背湿地が連続していた。
 Sさんによれば、周辺の湿地にもいろいろあり、旧河道に由来するもの、自然堤防背後の後背湿地、そして山麓の袋状湿地などである。グワハティ周辺の湿地の多くが水田や埋めたて、レンガ工場などの進出により縮小し、水質悪化、生物多様性の減少などの問題を抱えているという。それでも郊外には大きな四ッ手網をしかけたのどかな水郷風景が見られた。


ブラマプトラ川の後背湿地)

 あの驚くべき網状流のブラマプトラ川が、グワハティ付近だけ基盤岩の露出のため1本にまとまり、狭窄部をつくっている(それでも川幅は1000m以上ある)。その下流側は河岸侵食が深刻で、雨季のブラマプトラが瀬音をたてて流れていた。うーん、メコン川よりすごい。


ブラマプトラ川;グワハティ)

※インドの(数少ない)世界自然遺産として、アッサム州のカジランガ国立公園がある。ここはブラマプトラ川沿いの湿地帯で野生のサイの生息地である。ぜひ行きたかったが、残念ながら雨季は閉鎖中だった。

紅茶の買い付け(8/23)

 ガンジスの次はブラマプトラ川中流のアッサム州グワハティ(ゴウハティ)にやって参りました。人々の顔立ちも東南アジア系だし、インドもだいぶはずれまで来たなという感じがする。ホテルのレストランで魚のカレーを頼んだら、白身のとてもおいしい魚(淡水魚)で感激。
 駅のそばにはアッサムティーの看板を出した店があちこちにあり、1軒目はキロ単位じゃないと売らないといわれ退散、2軒目のお店のおじさんはとても愛想がよく、日本から来たと言ったらとても喜んでくれた。アッサムの高級そうな紅茶を買ったあと、となりの瓶のダージリンも見せてもらったら、何と日本で最高級、紅茶のビンテージ「マカイバリ」だという。ほかにもわが家で一番人気の「ロプチュー」箱入りもあり、値段を聞いてまた感激(おみやげにするので価格は秘密)。